吉野美穂子と私のmface(エムフェイス)

吉野美穂子と私は同級生で高校生の頃から仲良くしています。彼女と繋がりがある理由は簡単には説明できないくらい深いものです。初めて会ったのは高校生二年生の春でした。彼女は突然現れた転校生でした。平凡な私の生活が一気に蕾が満開になった瞬間でした。彼女は私のクラスにいないタイプの女の子で、長い髪に後々知ったのですがその髪は天パでクルクルしていました。?っぺたはピンク色をしていて肌は真っ白です。可愛いと女性からみても思うような雰囲気を持っていました。私は一番後ろの席でちょうど隣が誰もいなかったのでもしかしたら私の隣に座るのではないかとドキドキしていました。まるでずっと憧れていたモデルが突然現れて私の方へ近付いてくるような状況でした。私の予想通り彼女は先生に言われた通り私のすぐ隣の空いた席に座って軽く会釈をしました。
休み時間になると彼女の周りには沢山の男女が集まり話を始めました。さっきまでボーッとしていた教室全体が一気に明るくなるようでした。
私はその頃から吉野美穂子にはそんな不思議なパワーがあるような気がしました。その通りで彼女が来てからのクラスは団結感が増して卒業式にはみんながまとまりを見せていました。
二人で話す機会が多かった私たちはすぐに仲良くなりました。彼女がネイルに興味があることを知ったのもその時でした。私は不器用でネイルはした事がなかったけれど、彼女の話を色々聞いていると何だか楽しそうで自分もしてみたいという気持ちになったのです。吉野美穂子は、やはり不思議なパワーがあると強く感じました。mface(エムフェイス)という名前のネイルサークルを作りたいと当時から言っていた彼女はその通り大学に入るとmface(エムフェイス)というネイルサークルを立ち上げたのです。もちろん私もmface(エムフェイス)のメンバーとなりました。

吉野美穂子が考えたmface(エムフェイス)には少しづつ興味を持つメンバーが集まりました。現在は20人いるmface(エムフェイス)はみんなそれぞれが個性を持った人たちばかりでした。そのためか、ネイルのデザインを考えるとなった時には次々と様々なパターンのアイディアが出されたのです。その事が話題となり現在では雑誌の取材を受けるほどでした。
ネイルサークルとしての活躍は周りから期待をされていましたが、私はどこか腑に落ちない気持ちが心の隅にありました。なぜ、吉野美穂子はここまでみんなを明るくする力を持っているのだろう。私なんてそんな風に誰かに感じてもらった事など一度もないのです。私がなぜ彼女に嫉妬しているのかは分かりませんがその頃から少しづつ彼女との仲に亀裂が入ってきたのでした。
吉野美穂子は、雑誌の偉い人から注目されるようになりました。他のメンバーも数人が注目をされました。やはり私には誰からも声は掛からずに余計にふさぎこんでしまいました。mface(エムフェイス)というサークルが出来て3年が経ちますが、私は相変わらず不器用で彼女のように器用にネイルをする事ができませんでした。落ち込む気持ちがますます深まり、私はサークルから身を引こうかと考えていました。彼女と始めたネイルサークルが私は大好きでした。しかし自分の出すアイディアは誰もが思いつくようなものばかりで誰からも注目はされません。いつまでもこんなことを続けていても将来の自分のためにはならないだろうとわざと理由を付けて加えてサークルを去りました。
それから1ヶ月経ってから授業が終わって帰り道寄り道をしていたら、ネイル特集と題した雑誌にメンバー達の考えたネイルが紹介されていました。

吉野美穂子の写真と一緒に写っていたのは、彼女のネイルサークルmface(エムフェイス)の紹介記事でした。私はもうやめている身分だし見る必要もないと思っていたのになぜか記事が気になり雑誌を購入して家で一人で読む事にしたのです。
mface(エムフェイス)には20人の個性溢れるメンバーが集まり毎日楽しく活動をしていると書かれていたのです。私がやめた後に受けた取材のはずなのに、メンバーは変わらず20人のままでした。メンバー紹介の記事にも私の名前が吉野美穂子の次に書かれています。どうしてだろうと不思議に思って雑誌を見ていました。
ネイルデザインの他には、メンバー同士の仲の良さがすごく伝わってくるような雰囲気の写真と一緒に乗っていたのが、なんと私と吉野美穂子が出会い一緒にネイルを勉強し始めた頃のツーショット写真でした。思い出の写真という言葉と一緒に書かれていた内容に私は涙が止まりませんでした。
mface(エムフェイス)というサークルを立ち上げる勇気をくれたのがこの私だというのです。私は今まで彼女のようになりたいと思って憧れていつの間にか嫉妬していました。彼女はそれを分かっていて、ネイルサークルが今あるのは私のおかげなんだと書いてありました。転校してまだ友達もいなかった自分のネイルを心から可愛いと笑顔で褒めてくれた顔を一生忘れないとかいてありました。涙が止まらず雑誌が濡れてしまうのを防ごうとバッグからハンカチを取り出しました。ふとみるとそのハンカチは随分前に彼女がプレゼントしてくれたハンカチでした。私は彼女に会いたくなりました。

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